自社の製品サービスの営業戦略を考えるにあたって、事前にTAM(Total Addressable Market)分析できている
中小企業の営業戦略における事業規模を推し量るための「TAM」とは何か?
TAM(Total Addressable Market)分析とは、企業が製品サービスの営業戦略を考えるにあたって、マーケットサイズを把握するときに使用する分析手法です。
絞り込んだ「市場」の大きさを把握することで、その後にどのようなデジタルマーケティングや営業活動をしていくかを設計できます。TAM分析によって市場サイズが魅力的でないとわかった場合は、ターゲット市場を変更するなども検討する必要が出てくるでしょう。
そのためにも、ねらうべき市場を把握することは重要となってきます。
作業手順
中小企業が、製品サービスを拡販していくにあたって試算すべき「TAM」を知る
TAMの役割・機能、中小企業がTAMを役立てるには
TAM(Total Addressable Market)とは、製品サービスがすべての潜在顧客を網羅したときの市場規模のことです。これは、市場全体を示すものであり、中小企業がターゲットとする市場の潜在的な「収益機会」を知るために算出されます。TAMを調べることは、デジタルマーケティング戦略を構築するうえでも重要です。
さらに、TAMに似ている指標としてSAM(Serviceable Available Market)とSOM(Serviceable Obtainable Market)があります。TAMは理論上の最大マーケットを表しますが、SAMは自社が製品サービスを提供できる現実的なマーケットを表します。そして、SOMは競争などを考慮したうえで自社が確実に獲得できるマーケットシェアを表します。
マーケットサイズを推し量るためのTMAによってわかること
さて、中小企業は、このTAMをどのような場面で使用するのでしょうか。
まず、新しい製品サービスを開発して市場に投入するタイミングでは、成功の可能性をさぐるためにもTAM分析が必要になってきます。また、現存する製品サービスであってもさらに事業拡大をしていく際には、現状の市場の大きさや潜在的収益を知ったうえで、市場を広げたり絞り直したりする判断に使うことができます。もちろん、デジタルマーケティングを実行する際にも、デジタル広告出稿や、誇示コンテンツの対象などの計画においてTAM分析は大変参考になるでしょう。TAMの実際の使用するための手順・方法
最後に、中小企業が実際に、TAMを調べるときの手順をわかりやすく整理してみましょう。
(1)ターゲットとする市場を決めるまず、自社の製品サービスが対象とする「市場」をどこにするかを明確にします。大きくBtoB向けの製品サービスだったとしても、業界・企業・規模・地域などの条件でターゲット顧客を分類(セグメント)することができると思います。
(2)統計データなどを集める次に、信頼できる市場データを集めます。これには、業界レポート、政府統計データ、専門機関の調査データなどがあります。例えば、中小企業庁や業界団体のデータが役立ちます。
- 中小企業白書:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html
- ものづくり白書:https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/index_mono.html
- e-Stat政府統計の総合窓口:https://www.e-stat.go.jp/
- 経済センサス:https://www.stat.go.jp/data/e-census/index.html
- その他:各種白書・業界新聞・情報メディアの記事コンテンツ等
収集したデータを基に市場規模を計算します。主には、既存の市場データから全体市場を推定する方法(トップダウンアプローチ)と、個々の顧客単価と顧客数を積み上げて市場規模を算出する方法(ボトムアップアプローチ)があります。
- TAM=市場全体の規模×ターゲットセグメントの割合(トップダウン)
- TAM=潜在顧客数×平均顧客単価(ボトムアップ)
- SAM=TAM×サービス可能な市場割合
- SOM=SAM×市場シェア
例えば、ある製品サービス分野の市場全体5,000億円のうち、規模・地域・業種などをセグメントしてターゲット市場がその10%となったなら、
- TAM=5,000億円×0.1=500億円
その中で、自社が提供できる「製品サービスA」がターゲット市場の50%なら、
- SAM=500億円×0.5=250億円
さらに、そのターゲット市場において獲得できそうなシェアが10%なら、
- SOM=250億円×0.1=25億円
という計算を、あくまでざっくり試算ではありますが、することができます。
その上で、TAMのスケールに合わせてデジタルマーケティングを実行する
最後に、TAMはもちろん、おおよそのSAM・SOMのマーケットサイズの見当がついたらその上でどのような営業戦略を取るか考えていきましょう。単にTAMが大きくても、競合他社が強力であったりするとSOMは小さくなってしまいます。逆に、TAMがそれほど大きくなくても競争が激化していなければ、魅力的な市場となる場合もあります。
TAMが大きく、SOMが小さい市場全体は大きいが競争が激しいもしくは自社のリソースが限られており、実際に獲得できるシェアが小さくなります。ここでは差別化やニッチ分野に集中してシェアを確保します。
市場全体は小さいが自社の製品サービスに優位性があって大きなシェアを獲得できそうなら、企業努力でリソース効率化を図りつつ、既存顧客とのつながりを継続・強化します。
市場全体が大きくかつ自社が大きなシェアを獲得できそうなのであれば、さらなる製品サービスの品質向上や、積極的なデジタルマーケティングによってシェア拡大を進めます。
市場全体が小さくかつ自社が獲得できるシェアも小さいと見込まれるならば。新市場開拓や、異なる製品サービスを開発するなどの展開を検討します。
いずれにせよ、このような手順を通じておおよそのTAMを算出することができれば、自社の営業およびデジタルマーケティング戦略をより確実に計画することができます。
まとめ
TAM分析は、中小企業が製品サービスを拡販していくにあたって市場の大きさを把握するのに役立ちます。それによって事業がどれくらいスケールするかをあらかじめ予想することができます。そして、分析によっては、マーケットセグメントを変更する必要性が出てくる場合も考えられるでしょう。
1つでも当てはまったらチェックしましょう
- 製品サービスを拡販していくにあたって試算すべき「TAM」を知ることができた
- TAMのスケールに合わせてデジタルマーケティングを実行できた