製品サービスの拡販にあたっては、「ゴールデンサークル理論」を通して価値の明確化ができている
製品サービスを差別化する際に有効な「ゴールデンサークル」とは何か?
ゴールデンサークル理論とは、米国のコンサルタントであるサイモン・シネック氏が提唱した考え方です。企業が「なぜ(WHY)」「どのように(HOW)」「何を(WHAT)」という順序を通して自社の製品サービスや事業モデルを説明できるように突き詰めることによって、製品サービスの「価値」が明確化され、消費者との信頼関係を築くことができるという考え方です。
ここではこの、ゴールデンサークルについて取り上げていきます。
作業手順
製品サービスの存在理由を明確にする考え方、「ゴールデンサークル」を知る
何(WHAT)、どのように(HOW)よりも先に突き詰めるべき、なぜ(WHY)
企業の多くが、自社の製品サービスを開発したり販売していくときは「何を(WHAT)」からまず考え、続いて「どのように(HOW)」と考えると思います。しかし、提供価値が明確になっている企業ほど「なぜ(WHY)」それを開発するのか、販売するのかを最初に突き詰めており、それに基づいて行動した結果として「何を(WHAT)」を提供しているとされます。
中小企業の多くがマーケティング活動をしていくにあたって考慮すべきは、顧客に「何」を販売するのか、競合他社と比べて「何」を価値提供できるか、でした。ただ、それ自体はもちろん重要ですが、競合プレイヤーが乱立しながら顧客も成熟しているような市場では、「何」を突き詰めるだけでは顧客を惹きつけることができなくなっているのも事実です。
そのような市場では、こんな社会課題を解決したかったから製品開発した、こんなサービスがあればもっと世の中が良くなるから普及させたいなど、製品サービスの「なぜ」が明確になっていることが望ましいです。それらの「存在意義」や「社会的使命」を持った製品サービスは、顧客にとって信頼できるものとなり、強い差別化となります。
中小企業のデジタルマーケティングにおいても役立つ、ゴールデンサークル
前述のとおり、中小企業が製品サービスを市場投入する際には、ただ製品サービスの機能・特徴を説明するだけではなく、その製品サービスがなぜ必要であり、企業がなぜその製品サービスを提供するのかを明確にしておくのが望ましいです。
デジタルマーケティングでも、自社サイトで製品サービスの「機能・特徴・強み・品揃え・安全」などのページを用意していても、伝えることが「何」だけに終始しているようであれば効果は限定的です。多くの企業がそのようなアピールをしているでしょうから、顧客もそれをそのまま鵜呑みにはしてくれません。それよりもむしろ「なぜ」をはっきり表明することが大切で、顧客もその「企業姿勢」に共感しやすくなり、結果として製品サービスの「何」もより受け入れやすくなります。
本来は、製品サービスの開発のタイミングでこれらを突き詰めるのが望ましいですが、デジタルマーケティングにおけるメッセージ開発等でも使えるので、現存の製品サービスについてもゴールデンサークルについて見つめ直してみましょう。
実際に、自社の製品サービスの「ゴールデンサークル」について考えてみる
ゴールデンサークルによって、改めて製品サービスの「存在理由」を突き詰めてみる
それでは、中小企業が実際に、ゴールデンサークルの考え方をもとにデジタルマーケティングを設計するときの手順をわかりやすく整理してみましょう。
(1)なぜ(WHY)を明確にするまず、製品サービスが存在する「理由」や「目的」「使命」を明確に定義します。これは、企業自体の価値観・信念に基づいたものになるでしょう。例えば、「なぜ私たちはこの製品を提供するのか」「なぜこのサービスが必要なのか」を明確にします。自社サイトであれば「経営者の想い」や、「開発ヒストリー」、「こだわり」などを通じてアピールするところです。
どうやってその目的を達成するかを具体的に説明します。例えば、「私たちはこの方法で問題を解決します」「このプロセスを通じて価値を提供します」といった具体的なアプローチを示します。この辺りは自社サイトでも、導入ソリューション・サポート体制などを通じて語ることができるでしょう。
市場に提供する製品サービスを自社サイトなどを通じて説明します。この段階では、製品サービスが持っている「特徴」「利点」を強調します。例えば、「私たちの製品はこの機能を持っています」「このサービスはこんなメリットがあります」といった具体的な情報を提供します。
まとめ
ゴールデンサークル理論は、中小企業にとっても有益な考え方です。
従来は、製品サービスの開発時点からこの考え方を取り入れて、製品サービスの存在意義について突き詰めるのが望ましいですが、デジタルマーケティングにおけるメッセージ開発でも役に立ちます。「なぜ(WHY)」が明確化されている製品サービスであれば、競合他社の多い業界であっても差別化ができるでしょう。
1つでも当てはまったらチェックしましょう。
- 製品サービスを拡販するにあたって、「TAM」について知ることができた
- 実際に、自社の製品サービスについて「TAM」を調べることができた