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顧客が成し遂げたい目的を「ジョブ理論」によって理解した上で、製品サービスの訴求メッセージを考案できている

「ジョブ」とは、顧客が製品サービスを「雇う」ことで成し遂げたい目的のこと

「ジョブ理論」とは、米国の経営学者であるクレイトン・クリステンセン教授が提唱した考え方です。これは、顧客が製品サービスを果たしてどのような「理由」で購入・成約しているかをしっかりと見つめ直して捉えるための分析手法です。

ジョブ理論では、顧客が何かを達成するために製品サービスを成約・購入することを「雇う」と考えます。例えば、顧客が「ドリル」を購入する理由は、ドリルという機械が欲しいわけではなく「穴を開けたい」というジョブ(仕事)を達成するためであるという考え方です。

それでは、詳しく見ていきましょう。

顧客が、成し遂げたいことを明確にするための「ジョブ理論」について理解する

ジョブ理論によってわかるのは、顧客が求めているのは製品サービス自体ではないということです。これらを踏まえると、競合サービスと比べてスペックの良さや料金の安さだけを訴求しているだけでは、顧客のジョブ(仕事)を達成する情報としては不足していることも考えられます。

従来の考え方を疑って、顧客が製品サービスをどのような理由で「雇う」のか、なぜ自社の製品サービスが選ばれているのかを改めて見つめ直し、それらをデジタルマーケティング等の施策で活用していくことが大事でしょう。

ジョブ理論によって定義される、顧客の「ニーズ」と「ジョブ」の違い

ここでもう一度、市場における「ニーズ」と「ジョブ」の違いを理解しておきましょう。

「ニーズ」とは、顧客の製品サービスへ向けた「関心」のことであり、それが特に表面化・顕在化しているものを指します。一方で「ジョブ」とは、主に顧客が製品サービスを「雇う」ことによって成し遂げたい「目的」を指します。

ジョブが存在→雇うことでジョブを解消できそうな製品サービスを発見→ ニーズが表面化

言い換えればジョブというのは、顧客自身が認識しているかしていないかは別として、顧客が抱えており、本質的に解消したいと思っている「課題・悩み」であるとも言えます。

代表的な3種類のジョブ、「機能的ジョブ」「感情的ジョブ」「社会的ジョブ」

さて、次にジョブの種類を見ていきましょう。ジョブの種類としては主に、「機能的ジョブ」「感情的ジョブ」「社会的ジョブ」の3つがあります。

代表的な3種類のジョブの図
機能的ジョブ

顧客にとっての具体的な「目的」を、製品サービスが持っている「実用・機能」によって成し遂げられる類のものを言います。ここでは「どのように達成・解決したいか」を重視します。

感情的ジョブ

顧客にとっての定性的な「目的」を、製品サービスが持っている「感性・情緒」によって成し遂げられる類のものを言います。ここでは「どのような気分になりたいか」を重視します。

社会的ジョブ

顧客にとっての名声・地位的な「目的」を、製品サービスが持っている「社会性」によって成し遂げられる類のものを言います。ここでは「どんな風に評価されたいか」を重視します。

ただ、BtoBにおいては「機能的ジョブ」がもっともケースとして多いでしょう。

どのような製品サービスを導入するとかよりも前に、業務プロセスの無駄が多いので業務効率化をはかりたい、あるいは人手不足を解消したいといったことが、中小企業の現場においても「ジョブ」として発生しているのではないでしょうか。

顧客が成し遂げたい「ジョブ」に合わせてデジタルマーケティングを設計する

これらのジョブ理論の考え方は、デジタルマーケティングにおけるアピールメッセージを考案する際にも有効です。当初の段階では、企業も顧客のジョブを意識して製品サービスを開発しているものですが、その後に競合他社との差別化などを意識するあまり、機能・品揃えを増やしたりする中でそもそもの本質的なジョブ達成が薄まってしまうことがあります。

そんな中、改めて顧客のジョブは何なのかに立ち返ることはデジタルマーケティングにおいて強いメッセージを考えるのに役立つでしょう。顧客が本質的に成し遂げたいと考えているのはどのような「ジョブ」なのか、そのために最も相応しいのはどのような「機能・実用」あるいは「感性・情緒」あるいは「社会性」なのか。

これらを整理することで、顧客は「この製品サービスならば私たちのジョブを達成してくれる」と感じ、製品サービスへの検討も高まっていくでしょう。

中小企業のデジタルマーケティングにおいて「ジョブ理論」の考え方を活用するには

それでは実際に、中小企業がデジタルマーケティングに取り組むにあたって、この「ジョブ理論」をもとにどのように実行するか考えてみましょう。おおまかな手順は、以下の通りです。

情報収集した上で、「ジョブ」を特定する

まずは、既存顧客を対象に「アンケート」や「インタビュー」をすることが重要です。あるいは自社の営業担当者からヒアリングするのも良いでしょう。ここから得た情報から、顧客がどのような理由で製品サービスに雇うのか、のジョブを特定します。これは、顧客の行動や意思決定の背景を明確にする作業となります。特定したジョブを言語化して書き出し、それにもとづいた製品開発やデジタルマーケティング戦略を考えていきます。社内でも共有し共通認識を持つようにしましょう。

ジョブを捉えた「メッセージ」を発信する

言語化したものをもとに、顧客が成し遂げたいジョブをしっかり捉えた「メッセージ」や「テーマ」を開発します。デジタル広告・メールマガジンのコピーとして活用したり、ブログ・コラム記事の題材として使用していきましょう。もちろん、サイトにおける「強み」などのページでも積極的に使用していくのが良いと思います。その上で、ジョブ達成において競合他社と比べた「優位性」を打ち出せるともっと良いでしょう。

まとめ

ジョブ理論は、顧客が「本質的」に成し遂げたいものを深く理解するための考え方です。ジョブを明確にすることができれば、デジタルマーケティングにおいていたずらに製品サービスの品質だけをアピールしても顧客を動かすことはできないということがわかると思います。ジョブ理論を知ることで、顧客の「目的」を的確にとらえることができ、顧客の共感・信頼を得ることが可能となります。

1つでも当てはまったらチェックしましょう

  • 市場における製品サービスの「ジョブ」が何なのかを知ることができた
  • 製品サービスが期待されている「ジョブ」をもとにデジタルマーケティングを実行できた
グロースマーケティンググループ 編集部

グロースマーケティンググループ
編集部

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