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「生成AI」の登場によって大きく加速する、中小企業の営業DX

生成AIが切り拓く、中小企業の「DX」の新時代

近年、ビジネスの世界で大きな注目を集めているのが、生成AI(Generative Artificial Intelligence)と呼ばれる新しい技術です。

生成AIとは、自然言語処理や画像・音声生成など多岐にわたる分野で活用が進んでいる人工知能のことです。莫大な量の既存データから学習を重ね、データ間の関係性を深く理解することで、新たなコンテンツを創りだすことができるのが大きな特徴です。

この革新的テクノロジーがもたらす可能性に着目し、それを活用してデジタルトランスフォーメーション(DX)を活性化させる、そんな試みが中小企業の現場でも着実に広がりをみせています。

中小企業が抱える「生産性向上」の課題と、発展するAI技術

現在、労働力不足やコスト上昇などの課題を抱えている日本国内の中小企業にとって、「生産性向上」は共通課題です。デジタルトランスフォーメーション(DX)が急がれる昨今、生成AIツールの積極的に活用していくことは、業務の効率化において欠かせない要素となっています。生成AIの主な特徴としては、以下の通りです。

判断および助言をすることができる

与えられた要望をもとに情報を収集してアドバイスをすることができます。また、すでにあるデータを分析・加工することにも長けています。

新たなものを創造することができる

与えられた情報をもとに、テキスト・画像などの創造的なコンテンツを作成できます。また、素材をもとにした要約・翻訳なども得意です。

これらの特徴から企業内での利用としては、定型業務の多いバックオフィス(労務・人事・経理)よりはむしろ、臨機応変な対応が求められる営業・マーケティング分野において、広くニーズがあるのではと考えられており、生成AIツールの活用が中小企業の「業務効率化」と「品質向上」に大きく貢献するのではと期待されています。

生成AIによって、デジタルマーケティングは変わりつつある

企業のマーケティング活動は、マーケティングオートメーション(MA)やCMSといったデジタルベースのクラウドツール(SaaS)の普及が進んでおり、その取り組みも数年前と比べればだいぶ自動化が進んできましたが、それでもWebサイトのページ内テキストの追加更新やブログ記事・メール原稿の作成など、特に新たなコンテンツを創りだす業務はどうしても人の力に依存せざる得なかったため、企業担当者はいつでも多忙を極めている状態ではありました。

しかし、生成AIが実用化されたことで、従来では難しかったこれらの新規コンテンツ作成がスピーディにできるようになったのです。

たとえば製品サービスの特徴を分かりやすく説明した記事コンテンツや、自社の強みを巧みにアピールするコピーライティング、洗練されたデザインの画像など、マーケティングに効果的なコンテンツを生成AIによって創造できます。さらに、チャットボットに、AIを組み込めば、顧客からの質問にも自然な対話で的確に応答し、スムーズな顧客サポートをすることも可能です。このように生成AIによって、デジタルマーケティングの運用が大きく効率化できるようになってきました。

企業担当者が知っておくべき、生成AIの種類

ここでは、中小企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるにあたって特に、営業・マーケティング分野の「生産性向上」に役立つと考えられる生成AIツールをいくつか紹介していきます。

ChatGPT(チャット・ジー・ピー・ティ)

2022年末にリリースされ、世界的にも大きな話題を集めた対話型の人工知能サービスです。米国OpenAI(オープンエーアイ)の大規模言語モデルGPT-3.5、GPT-4をベースに、利用者からの質問に応じて回答となるテキストコンテンツを自動生成します。記事作成、要約、翻訳などさまざまな用途で活用することができます。無料プランと有料プランがありますが、有料版だと、出力するテキスト情報の精度も高く、さらに画像(DALL-E)や高度なプログラミングコードの生成も可能になってきます。

開発元 Open AI(米国)
URL https://chat.openai.com/
主な機能 テキスト生成に加えて、画像・計算・プログラミングコード生成など
(※動画生成については開発中: https://openai.com/sora
料金 ・ChatGPT 無料
・ChatGPT Plus 20ドル/月(約3,000円/月)
使ってみた印象 ・質問応答、文章生成、要約、翻訳など、さまざまな作業内容に対応できる
・最も普及していることもあって信頼性が高い。やや「機械的」な文章を生成する傾向がある
・倫理的な配慮もされており、有害コンテンツの生成を避けるようになっている
・日本では、午後〜夕方だと「生成エラー」が出やすい印象
Gemini(ジェミニ)

検索エンジンサービスで有名なGoogle(グーグル)が開発した生成AIです。 基本的な仕様はChatGPTに近いですが、生成されるテキストはわかりやすい段落分け・箇条書き表現で出力してくれることが多いのが特徴的です。また、GoogleWorskspaceなどのビジネスツールとの連携が可能なことから、社内でGoogleサービスを利用している際には、より使い勝手が良いかもしれません。無料プランと有料プランがありますが、有料版のGemini Advancedでは高度なプログラミングなども可能になります。

開発元 Google(米国)
URL https://gemini.google.com/app
主な機能 テキストに加えて、計算・プログラミングコード生成など
料金 ・Gemini 無料
・Gemini Advanced 2,900円/月
使ってみた印象 ・ChatGPTと比べても遜色のないテキスト生成・計算・プログラミングコード作成能力
・テキスト生成は、ChatGPTと違って箇条書きや要素を分解して記述する傾向がある
この辺りは、ChatGPTのようにテキストを羅列する方が良いか好みも分かれる
・Googleサービス(GoogleSheets、GoogleAnalytics4等)に対する質問については、他の生成AIサービスと比べても信頼できる
Claude(クロード)

Anthropic(アンソロピック)が開発した生成AIで、2024年3月に一般公開された大規模言語モデル(LLM)である「Claude3」は瞬く間に世界中で話題となっています。特に、言語のニュアンスの深い理解が特徴です。機械的でない自然な文章を生成したり、要約したりするのに長けているのが特徴です。こちらも無料プランと有料プランがありますが、有料版はGPT-4のパフォーマンスを凌駕するという評価もあります。

開発元 Anthropic(米国)
URL https://claude.ai/chats
主な機能 テキストに加えて、計算・プログラミングコード生成など
料金 ・Claude 無料
・Claude Pro 20ドル/月(約3,000円/月)
評価 ・自然かつわかりやすい言い回しの日本語の文章を生成することができる
・すでにあるテキスト文章を、「リライト」「要約することもにスピーディに実行できる
・現時点では機械学習量が少ないからか質問に回答できなかったり、不正確な回答をすることがやや多い印象(*無料版)
Firefly(ファイア・フライ)

グラフィック・動画編集ツールで有名なAdobe(アドビアドビ)がリリースした画像生成AIです。簡単な命令(プロンプト)を入力することで簡単に画像を生成することができます。生成する画像データはAdobe Stockなどの商用フリーソースをもとに機械学習しているため、生成画像をそのまま販促物などの用途で使用することも可能とされています。機能的な差異はありませんが、利用可能なクレジット数の違いで、無料プランと有料プランが設けられています。

開発元 Adobe(米国)
URL https://www.adobe.com/jp/products/firefly.html
機能 画像生成
料金 ・Free ※毎月25クレジットまで
https://helpx.adobe.com/jp/firefly/using/generative-credits.html
・Plemium 680円/月 ※毎月100クレジットまで
使ってみた印象 ・学習データにAdobe Stockなど使用許諾を受けたコンテンツと、著作権が消滅しているパブリックドメインを使用しているため、法的に問題なし
・後述する他の画像生成AIツールと比べても、ログインして簡単な命令(プロンプト)を入力するだけで画像生成できるため、使いやすい
Midjourney(ミッドジャーニー)

高いクオリティでの画像生成を可能とする生成AIツールです。チャット・音声サービス「Discord」を使って利用することができ、月額料金は8ドル〜最大で120ドルのプランがあります。しかし、学習データに著作権保護された画像が含まれているおそれがあるとされており、中小企業が営業・マーケティング活動等で利用をするにはちょっとリスクがあるかも知れません。

開発元 Midjourney(米国)
URL https://www.midjourney.com/home
機能 画像生成
料金 ・Free 停止中
・Basic Plan 8〜10ドル/月(月に3.3時間・画像約200枚まで)
・Standard Plan 24〜30ドル/月(無制限・利用できるGPUの違い)
・Pro Plan 48〜60ドル/月(無制限・利用できるGPUの違い)
・Mega Plan 96〜120ドル/月(無制限・利用できるGPUの違い)
使ってみた印象 ・現在は無料トライアルが存在しない、Disocord経由での命令入力〜画像生成となる
ただし、著作権のある作品をもとに学習しているため、倫理的/法的に問題あり
Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)

同じく高クオリティな画像生成に加え、動画や音声の生成にも対応するAIサービスです。無料プランと月額30ドルの有料プランがありますが、利用する際にはPython/GitHubなどの技術的知識がある程度は必要となってくるため、一般的な企業担当者にとっては少し敷居が高いツールにはなっています。著作権の問題もクリアとは言えないため、Midjourneyと同様に商用利用するには注意が必要なサービスです。

開発元 Stability AI(米国)
URL https://ja.stability.ai/stable-diffusion
できること 画像を中心に、動画・言語・音声も含む
料金  
使ってみた印象 ・Python/GitHub/GoogleCorabなどを使用してのプロンプト入力となるため、技術的な知識がある程度は求められる

それぞれの生成AIツールの使用してみた印象

私たちも、ChatGPTを社内導入することで生産性が大きく向上しました。特に有料プランであるChatGPT Plus(GPT-4)は、記事コンテンツやメール原稿の作成などで活躍しており、命令(プロンプト)さえしっかり記述して作り込めば、一定のクオリティでのテキストの自動生成をすることがわかっています。

しかしながら最近では世界的な利用者の急増からか、午後〜夕方にかけて「生成エラー」が頻発するなども見られます。

一方で、後発のGeminiは2024年のサービス公開以降、徐々に生成精度を高めており、Googleサービスとの連携も強化されつつあります。そのため、セカンドオピニオンとしてGemini Proを利用することで、テキストコンテンツの開発やアイデアのバリエーションを得ることができると感じています。

Claudeについては、現時点では学習ボリュームが少ないのか無料プランにおいては一部の回答に不安は残る印象でしたが、ChatGPTやGeminiとは異なり、論理性よりも読みやすさを重視した文章生成ができるため、日本語の「文章リライトツール」として非常に優れているという印象を持ちました。

画像生成に関してはFireFlyが最も利用しやすい選択肢と思われます。簡単なプロンプト入力で、著作権フリーの高品質な画像生成が可能です。今後のプロンプト検証を経て、サイト用画像や、デジタル広告素材などへの活用が期待できるでしょう。

※上記は、2024年4月時点で私たちGMGのメンバーが各サービスを利用してみた感想・意見となりますため、当社の公式な見解とは異なります。また時間の経過とともに、各サービスの機能・料金が変動するおそれがあります。

このように、生成AIツールはいくつも開発されており、記事コンテンツやメール原稿などのテキスト作成はもちろん、将来的には画像や音声・動画なども容易に自動生成することが可能となり、多くの企業がマーケティング活動に積極的に使用していくようになるのも、そう遠い未来ではないでしょう。

まずは、無料で使えるものからトライアルで試してみて、社内業務に生かしてみると良いのではないでしょうか。

中小企業こそ、生成AIツールを業務に活かすべき

もちろん生成AIは、いつでも完璧なものを生成してくれる訳ではありません。ですが、各種コンテンツの下書きづくりをするだけでも大いに役に立ちます。企業担当者の生産性は飛躍的に向上するはずです。

ただし生成AIは、文書作成からデザインまで中小企業の営業業務・社内業務のあらゆる場面で役立つ最先端ツールですが、単に便利だからと言って全てAIに任せきりにするのではなく、守秘義務のある機密情報の取り扱いには十分な注意を払い、あくまで人の目によって間違った情報を生成していないかチェックすることも怠らずに行うのが望ましいです。

自社にとって「最適」な活用手法を探しだすことによる、生産性向上

まずは、無料で使えるプランから利用を始めてみて、徐々に精度の高い有料プランへと活用範囲を拡げていくのが良いでしょう。また、業務内容に応じて、自社にとって最適な生成AIツールの「組み合わせ」を徐々に見出していくことが成功の鍵となります。

例えば、記事コンテンツの作成の際には、ChatGPTでまずは「下書き」をしてからClaudeを使って「リライト」したり、判断に迷うことがあれば、ChatGPTとGeminiに同じ質問をして、それぞれの回答をもとに「意思決定」の参考するなど、複合的に生成AIを使っていくことで、さらに業務のパフォーマンスを向上させるなども工夫次第で可能となります。

私たちGMGは、今後も進化を続けるそれぞれの生成AIツールの特徴を見極めながら、「生産性向上」と「コスト削減」の両立に向けた、中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)にとって役立つ活用手法を、引き続き検証してまいります。

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